研究目的
本研究は『ヨーロッパ言語共通参照枠』(CEFR)に関わる批判的言説の学説史的考察をめざす。CEFRとは欧州評議会が2001年に公開した外国語教育の教育・学習・評価に関する教育資材であり,日本でも2004年に翻訳が刊行され好意的に受容されてきた。しかしヨーロッパではCEFRそのものに対する言語教育学からの建設的な批判が投じられている。
本研究は欧州におけるCEFRの批判的言説を学説史の中から検証し,その妥当性を精査し,日本社会へ向けたCEFRの批判的受容を目指す。そのために以下の事項を検討し,解明する。
1.ドイツ語圏,フランス語圏,英語圏の批判的言説を学説史の観点から網羅的に調査する。
2.批判的言説とCEFR増補版の対照を行い,その対応を検証する。
3.CEFR公開20周年の国際研究集会を開催し,CEFRの批判的受容を討議する。